HIROTOPHY / 会社員ヒロトの免疫低めブログ

東京在住の会社員ヒロトのブログです。

強くもなく偉大でもないあなたへ

僕は、すべての病気が「母親であり、強く偉大である人だけが受け入れられる病気」ではなくなることを願っています。

母さんの息子

そのとき、まるで見透かしたかのように母が聞いてきました。 「それで、裕人はどうなの。何事もなくやってるの」 「うん、特に何もないんだけど……」 「けど?けど何なの?」 僕は、まだ熱いコーヒーをごくりと飲み込みました。今しかない。

僕を構成するのはいろんな当事者ではない

僕は、以前からこの「当事者」という言葉が苦手です。自分の言葉として使うときも、他人の言葉として聞くときも、どこか違和感を覚えます。何がわかっていないんだろう…?あれこれ考えてみますが、結局よりどころが見つかりません。 たとえば、何か主張をす…

やっとただの病気になったのかな

僕がHIV感染を知ってから二年が経ちました。 二年前の今頃はこんなだったな、あんなだったな…と思い返しながら、たったの二年しか経っていないことをすごく意外に感じています。もっとずっと昔のことに思えます。僕の気持ちが「あの頃」とあまりにも違うから…

カミングアウトを受け入れるのは誰か

LGBTのカミングアウトって、僕らみたいな「平凡な会社員」がやってこそ意味があると思うんです。 バーで隣り合わせた人が、そんなことを言いました。なんで会社員なの?と聞いたら、彼はこう答えました。 アクティビストの人とか、ゲイバーのママみたいな人…

かなりフツーです

HIVを持っている人に、強い恐怖心を感じている人もいるみたいです。でも、実際は「自分でHIVを持っていることがわかっている人」について、そんなに...と言いますかまったく怖がる必要ないです、という話を今日は書こうと思います。 自分がHIVを持っていると…

その挑戦は無謀か

うまく書ける自信がなくて、基本的に時事ネタは書かないことにしている。でも、今回のニュースは僕にとって大切なテーマを含んでいるので、思い切って書いてみることにした。 登山家の栗城史多さんが、エベレスト山の下山途中に亡くなった。専門家の人たちか…

このブログのこと

このブログは、誰にも言えない僕の苦しみや辛さを吐露する場所ではありません。僕がHIVを持っている状況を知っている人たちと知らない人たちが入り混じる中で暮らす僕のエッセイのようなものです。

「HIVに感染したら」で検索している不安でいっぱいのあなたへ

HIVに感染したかもしれない、と不安を感じている人は、少なからずいると思います。これを読んでいるあなたが、まさにそうかもしれません。 「HIV」 Googleの検索窓に入力すると、「HIV 初期症状」とか「HIVに感染したら」とか、不安が垣間見えるフレーズがた…

ありがとう

友人が、この世の生を閉じた。

免疫に声をかけたら

HIVを持っていると知らされてから暫くの間、体調を崩してしまうことが心配だった。なにしろ、一般の人の3分の1しか免疫力がないという。お医者さんにも、体調管理をしっかりするよう釘を刺された。もっとも、その内容は「手洗い・うがいをして、生ものは避け…

2018年、僕は戻ってきた僕のために走ろう

はてなブログの今週のお題「2018年の抱負」について書こう。 えっ?ヒロトくん「今週のお題」なんて書いてたっけ?と言われそうだが、実はこれ、ブログの更新頻度を上げるべく今日から始める新しい試みである。 ということで、2018年の僕の抱負は「今週のお…

薬物依存症:ケンジ君の疑問、それは僕の疑問

TOKYO AIDS WEEKSの「ナルコティクス アノニマス・オープンミーティング」に参加してきた。 ナルコティクスアノニマスというのは、薬物依存症の人たちの自助グループの名前だ。通常のミーティングには当事者の人たちが集まるが、今回のオープンミーティング…

1番目の90:世界エイズデー

世の中には「〇〇の日」がごまんとある。その日が近づくとどこかで聞いたような食傷気味のスローガンが叫ばれる。がん検診に行きましょう。戦争は悲惨です。大切な子供たちに愛を。 そんなことわかってる。 僕らは忙しいのだ。すべてのデーに目を向けるなん…

BPM-戦争を知らないHIV陽性者

TOKYO AIDS WEEKSと日本エイズ学会にはじめて参加した。 学会が初めてなのは、まあ仕方ないだろう。でも、TOKYO AIDS WEEKも初めてというのは、感染を知るまでの僕がいかにHIV・AIDSに無関心だったかを物語っているようで、ちょっと恥ずかしい。 たくさんの…

小さな町の小さな皮膚科

僕がHIV陽性の告知を受けたのは、今から1年半前。保健所でも、検査場でも、大病院でもない、小さな一般の皮膚科医院でした。 検査を二回受けて確定したので、理屈としては二回目の検査の結果を聞くのがいわゆる「告知」です。しかし、圧倒的にショックが大…

1990年のパリの僕 〜 映画「BPM」試写会に応募して

HIVの感染を知ってからしばらくのあいだは、自分の病気のことで手一杯だった。 なので、HIVといえば、それは「自分のHIV」のことだった。すなわち「2016年に感染を知り、東京の大病院で治療を受けているゲイ男性」としてのHIV。寿命は人並み、毎日元気、病院…

新井先生とアライの話

先日、バブリングのトークイベントに行き、中学校の国語教師である新井先生の話を聞いた。シュッとした紳士的な身なり、よく響く声でユーモアたっぷりに話す姿はまさに先生然としていて、やはりプロは違うな…と感心しながらトークに耳を傾けた。 新井先生は…

明日のHIV特効薬を今日の世界はまだ知らない

アメリカのNIH(国立衛生研究所)と製薬会社がタッグを組んで、非常に強力なHIV抗体の開発に成功しつつある、というニュースがBBCから飛び込んできていた。

CD4に一喜一憂するぞ宣言

CD4が、病気が分かって以降の最高記録を更新した。CD4というのは免疫の状態を表す指標で、数値が大きいほど免疫力が高いことを示す。健康な人で700~1500くらいの値だが、免疫機能障害になるとこの値がじわじわと下がってきて、通常なら免疫が弾きとばしてく…

東京を離れ山奥の温泉で一人きりになったら

旅行の誘いがあるたびに、仕事が、気持ちが、と自分に言い訳をして話を避けてきた。ときには「行けばいいだけじゃん!」と半ばやけくそでバスターミナルに駆け付けたこともあったが、結局「まあ今日じゃなくてもいいか…」と踵を返した。

伝えない意味、伝える意味|ヒロトのインタビュー(カミングアウトストーリー)

僕のインタビュー記事が、NPO法人バブリングのウェブサイトに掲載されました。 HIVを持っていることを告知されて1年も経たないころのインタビューで、気持ちの整理もしきれていないし、内容もとりとめがないけれど、その分の生々しさというか、飾らない正直…

グレープフルーツ

訪問先との約束まで時間があったので、ランチでも食べようと同僚くんと中華料理屋に入った。円卓には中国茶がセットされていて、蓋を開けると、茶葉やら穀物やら木の実やら正体不明のいろんなものが中に入っていた。 店員さんがお湯を注ぐと、中国茶の独特な…

同窓会

高校時代の友人たちと酒を飲んだ。数ヶ月に1度、少人数で会っていろんな話をしている。 同窓会というほど大規模でも久々でもないけれど、普段の人間関係とは別のところで繋がっている友人、それも若かった時代を知っている同い年の友人と飲む酒というのは美…

ひっそりと咲く花

二ヶ月ぶりの診察。 インタビューを受ける予定だと雑談で話したことを、主治医の先生は覚えていた。 「インタビューの内容は世に出るんですか」「はい、ウェブ上で公開されます」「社会の認識が進むことにつながるといいですね」 この若い先生は、ときどき「…