hirotophy

あなたの隣の免疫不全系男子

免疫に声をかけたら

HIVを持っていると知らされてから暫くの間、体調を崩してしまうことが心配だった。

 

なにしろ、一般の人の3分の1しか免疫力がないという。お医者さんにも、体調管理をしっかりするよう釘を刺された。もっとも、その内容は「手洗い・うがいをして、生ものは避けて」という一般的な指示ではあったけれど。

 

できることは、片っ端からやった。先生の言う衛生面はもちろん、食生活、運動、睡眠から入浴、日光浴、ストレッチ、呼吸に至るまで、とにかく調べて実践しまくった。

 

努力の甲斐あってか、体調を崩すことはなかった。でも、いま思えば相当に神経質な日々だった。

 

体調管理をしているのは僕じゃない

 

不自然な頑張りは、続かないもの。

 

やる気が薄れてきた一年後、僕は遂に風邪をひいた。それも39℃級のヤバイヤツ。あまりに症状が華々しくインフルエンザと確信したけど、病院の診断は「ただの風邪」だった。

 

漢方薬が処方されたが、長引いたときに使えばいいやと、ひとまずそのまま薬箱にしまった。

 

HIV告知以降 初めての体調不良。一晩寝ても、病状は変わらない。僕は、このままこじれていくことを覚悟した。

 

しかしその後、朝より昼、昼より夕方と、体調は確実に回復していった。身体が軽くなり、食欲が湧き、気力が満ちてくるのがわかる。薬は飲んでいない。あきらかに、これは自力での回復だ。

 

ちゃんと治っていくじゃん!

 

免疫が弱くなっているはずの僕の身体が「僕を守ろう、回復させよう」としっかり働き、実際に体調を回復させている。その姿を目の当たりにして、僕は新鮮な驚きと、ある種の敬意を感じた。

 

それまでの僕は、自分で自分の体調を管理しようとしていた。でも、僕の体調を管理しているのは、実は僕というより「僕の身体」だった。僕にできることは、身体がスムーズに体調管理できるよう手助けすることなのである。

 

そう気づいたら、体調管理に神経質だった日々が滑稽に思えてきた。そして、自分の身体がやたらと愛おしくなった。

 

f:id:hirotophy:20180115004954j:plain

身体に話しかけることが体調管理

 

僕の身体は、おそらく怒り心頭だろう。ゆとりを持って十分に準備してあった免疫を、勝手にここまで破壊されてしまったのだから。

 

それなのに、文句ひとつ言わず、しっかりと僕の体調を整えつづけ、崩れかければ全力で立て直してくれる。ほんとうにありがたく、申し訳なく、さすがにこれ以上の苦労はかけられないな…と思う。

 

いつごろからだろう。気づいたら、僕は折にふれて身体に話しかけるようになっていた。遅くまで残業した日には「ごめん、疲れたよね」。ガツンと飲みたいときは「今日だけ無理させて!」。湯船につかれば「気持ちいいかな?」。寝る前には「今日もありがとう」。

 

何か子供の遊びのように見えるかもしれないが、そうやって身体に関心を向け、身体からの呼びかけを感じ、身体に無理させないように行動をコントロールすることが、いまの僕には合理的かつ無理なく続けられる「体調管理」になっているように思う。

 

これからも身体に関心を寄せ、身体を思いやろう。酷い目に遭わせてしまった僕の免疫からも「俺はヒロトの免疫でよかったよ」と、いつの日か言ってもらえたらいいな。

 

さすがに免疫からは無理かな…。← 後ろめたさ

 

今週のお題「体調管理」

 

にほんブログ村 病気ブログ HIV・エイズへ あなたのポチッが励みになります(ボタンを押すとランキングサイトに飛びます)